遺言書をパソコンで作成してもいいの?~行政書士が解説します。
遺言書の作成方法は法律によって定義されています。
ではその作成にあたってパソコンで作ることは問題ないのでしょうか。
結論として、
パソコンで作成できる場合もあります。
ではどういった場合にパソコンで作成することができるのでしょう。
大きく分けて
①自筆証書遺言で作成する場合
②秘密証書遺言で作成する場合
があります。
自筆証書遺言で作成する場合
自筆証書遺言とはその名の通り「自筆で」「手書きで」作成する遺言書です。
原則として全文を自筆で書く必要があります。
しかし2019年1月の相続法改正により「財産目録」に関しては自筆でなくてもパソコンでの作成や預貯金通帳のコピーでも可能になりました。
財産目録とは遺産分割の対象となる財産を遺言書の本文とは別の用紙にまとめ記載したものです。
相続財産
・現金、預貯金
・不動産(土地・家屋・田・畑など)
・不動産上の権利(地上権・賃借権・抵当権など)
・動産(自動車・宝石貴金属・骨董品など)
・有価証券(株式・国債・手形など)、ゴルフ会員権
・その他債権(売掛金・貸付金・損害賠償請求権など)
・知的財産権(特許権などの産業財産権・著作権など)
・生命保険金(受取人が被相続人のもの)
遺言書本文内で財産を記載することも可能です。
しかし財産の項目が多い場合は目録として添付した方がわかりやすいです。
もし財産目録をパソコンで作成したり通帳のコピーや不動産の登記簿謄本で用意する場合、その全ページに署名と捺印が必要ですのでご注意下さい。
財産目録が複数枚にわたる場合は、ページ番号や割印もあった方がいいでしょう。
秘密証書遺言で作成する場合
秘密証書遺言とは簡単に言うと自筆証書遺言と公正証書遺言の中間のような遺言書です。
自分で遺言書を作成するので自筆証書遺言のように内容を秘密にできるというメリットがありながら、公証人に遺言の存在を証明してもらえます。
自筆証書遺言は内容は秘密にしておけるけど自宅で保管する場合、発見されなかったり、紛失や改ざんのリスクがありました。
公証役場で公証人と証人により遺言の存在が証明されるのでそれらのリスクがなくなります。
そして秘密証遺言で作成する場合、本文も財産目録も全てパソコンで作成することができます。
またパソコンによらず他の人に代筆してもらうことも可能です。
ただし署名押印は必ず必要なのでご注意下さい。
その他秘密証書遺言の作成にあたりポイントや注意点がありますのでよかったら次のページをご確認下さい。
まとめ
遺言書をパソコンで作成する場合
①自筆証書遺言で作成し財産目録をパソコンで作成する
②秘密証書遺言で作成する
どちらの遺言書で作成する場合も作成には決められたルールがありますのでよく確認してから作成するか、一度専門家にご相談下さい。
遺言書に書いて効力があるものは法律で決められています。
しかし法的な効力はなくても遺された方へのメッセージとして遺言書に「想い」を記しておくことはとても大切です。
遺された人たちはどうしてあなたがそのような内容の遺言書を書いたのか理解することができ、あなたの気持ちに寄り添うことでその遺言の内容を受け入れやすくなります。
またあなたの「想い」を知ることで相続人同士の不要な争いを避けることができます。
「死」という悲しい出来事がおきた最中にある相続。