「成年後見制度」をやさしく、わかりやすく解説します!
成年後見制度とは
将来認知症になったらどうしよう。。。
そう考えて不安になることもありますよね。
認知症の発症率は高齢女性の方が高く、85~89歳では約半数の48.5%、90歳以上では71.8%が発症するというデータがあります。
60代では3%程度と認知症の発症率はそこまで高くありません。
しかし、70代の後半では男性12%・女性14%、80代後半になると男性35%・女性44%と大幅な増加が見られます。
90代の後半ともなると、男性の51%・女性の84%もの割合で認知症が発症するという結果が出ています。
もし認知症になり判断能力が低下した場合、ご自身の生活についてどうすればいいのでしょう。
頼れるご家族が側にいれば心強いですが、現在では昔と比べ家族のかたちも変わり、頼れるご家族がいるという方ばかりではないのではないでしょうか。
そんな時に利用できる制度に「成年後見制度」というものがあります。
被後見人(判断能力の低下によりサポートが必要な人)を後見人がサポートします。
成年後見制度には大きく分けて
・「法定後見」
・「任意後見」
の2種類に分けられます。
そして法定後見は、「補助」「保佐」「後見」の3つに分類されます。
成年後見制度の利用者数の推移
※令和3年3月作成 法務省 成年後見制度現状 参考資料11より参照
高齢化社会に伴い年々少しずつ増加傾向にあります。
法定後見3類型
法定後見制度は大きく分けて次の3つに分類されます。
サポートする程度が軽いものから順に
①補助→②保佐→③後見
となります。
またそれぞれに与えられる権限として
「代理権」、「取消権」、「同意権」があります。
補助、保佐、後見ごとにそれぞれ認められる「代理権」、「取消権」、「同意権」の範囲が異なります。
代理権・・・本人に代わって金銭の支払いをしたり契約をしたりする権利
取消権・・・本人が代理人の同意を得ないで行った行為を取り消すことができる権利
同意権・・・本人が行う行為に関し、同意する権利。(例えば未成年者が携帯ショップで携帯を買う時、親の同意が必要になりますよね。そのような場合。)
①補助(法定後見)
ある程度日常のことは自分で行えるものの、軽度の判断能力の低下があり、金銭の管理などができなくなった人を補助(サポート)します。
補助を受ける人を「被補助人」と呼びます。
補助をする人を「補助人」と呼び、「取消権」や「同意権」が与えられます。
補助人の代理権
本人と家庭裁判所に認められたことに関してのみ与えられます。
補助人の取消権
民法13条1項のうち、家庭裁判所から必要と認めれれたものに対してのみ取消権が与えられます。
取消の方法に決められた方法はありません。相手方に取消の意思表示をすればそれでよいとされています。
補助人や被補助人によって取り消した行為は「はじめから無効なもの」と見なされます。
よってその行為によって得た物がある場合、返還しなければなりません。
補助人の同意権
民法13条1項のうち、家庭裁判所から必要と認めれれたものに対してのみ同意権が与えられます。
民法13条1項 (わかりやすい言葉に置き換えています。)
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- 貸したお金を受取ったり、利用したりすること。
- 借金をしたり、保証人になること。
- 不動産や重要な財産を売買したり、権利を得たり、手放したりなどを目的とする行為をすること。
- 訴訟行為をすること。
- 贈与(財産を渡すこと)や和解又は仲裁の合意をすること。
- 相続の承認(親族が亡くなって財産を相続すること)、若しくは放棄(相続財産を放棄すること)又は遺産の分割(相続が発生すると、遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分割をします)をすること。
- 贈与(生前の贈与)や遺贈(遺言による贈与)を放棄し、負担付贈与(生前に○○する代わりに▲▲をあげるなどと約束し、財産をあげること)の申込みを承諾し、又は負担付遺贈(遺言により○○する代わりに▲▲をあげるということ)を承認すること。
- 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
- 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。 (第602条)
樹木・山林10年 土地5年 建物 3年 動産6ヵ月
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補助監督人
補助人の職務が適切に行われているか監督する役目として補助監督人が選任される場合があります。
補助監督人が選任されない場合は家庭裁判所が補助人の職務を監督します。
報酬
補助人はその職務に対して報酬を請求することができます。
報酬の額は家庭裁判所が決定します。
報酬額はどのような内容の職務を行うのか、また財産額や財産の内容により異なります。月額1万円~5万円程度が相場となります。
補助人の職務
民法13条1項のうち、家庭裁判所から必要と認めれれたものに対して財産の管理または財産に関する必要な行為を同意したり、取り消したりします。
たとえば訪問販売により不必要な物を購入してしまった時、補助人に訪問販売による契約の同意権が与えられていれば、補助人の同意を得ずにした売買契約を補助人は取り消すことができます。
補助人の解任
補助人に次にあたる解任事由があった場合、家庭裁判所は本人やその親族、補助監督人、検察官からの申立て、または職権により解任することができます。
1.不正な行為
本人の財産を私的に使い込んだり、横領したり不正な行為を行うこと。
2.著しい不行跡
補助人の職務である財産の管理を適切に行わないことや、裁判所からの報告の求めに応じなかったりすること。
3.その他、任務に適しない事由
補助人が病気になったりして事務を行うことが難しくなった時や、職務の怠慢により被補助人が不利益を被るなどがあります。
また被補助人と補助人の関係性が悪くなり信頼気関係が破たんすると、任務に適さなくなります。
②保佐(法定後見)
保佐も補助と同様ある程度日常のことは自分で行えるものの、軽度の判断能力の低下があり、保佐人(サポートする人)によりサポートが必要な場合、家庭裁判所より選任されます。
保佐を受ける人を「被保佐人」、保佐を行う人を「保佐人」と呼びます。
前述の補助との違いは同意権や取消権に関してより広い範囲で認められている点です。
保佐人には、民法13条1項で決められた行為全てに関して同意権が与えられるのに対し、補助では民法13条1項のうち、必要だと認めれれたものに関してのみ同意権が与えられます。
補助人の代理権
本人と家庭裁判所に認められたことに関してのみ与えられます。
保佐人の取消権
民法13条1項全てに関して
また家庭裁判所へ申立を行い、認めれれた行為に関して取消権が与えられます。
保佐人の同意権
民法13条1項全てに関して
また家庭裁判所へ申立を行い、認めれれた行為に関しても同意権が与えられます。
保佐監督人
家庭裁判所は必要があるときは本人や親族による申立てによりまたは職権で保佐監督を選任します。
保佐監督人は保佐人の職務が適切に行われているか監督します。
保佐監督人が選任されない場合は家庭裁判所が保佐人の職務を監督します。
報酬
保佐人の報酬は家庭裁判所が決定します。
どのような内容の職務を行うのか、また財産額や財産の内容により異なりますが、月額1万円~5万円程度となっています。
保佐人の職務
民法13条1項に定められた、財産上の重要な行為に対して、同意したり取り消したりします。
また家庭裁判所に認めれれたものに関して、被保佐人に代わって代理で売買などの法律行為を行います。
また身上配慮義務といって被保佐人の心身および生活環境に配慮します。
保佐人の解任
補助人の解任事由と同様「不正な行為」「著しい不行跡」「その他、任務に適しない事由」があった場合に家庭裁判所は本人またはその関係者の請求によって解任することができます。
③後見(法定後見)
重度の認知症や精神障害などにより、判断能力が不十分な人をサポートするための制度です。
サポートを受ける人を「被後見人」、
サポートする人を「後見人」
と呼びます。
後見人には「代理権」と「取消権」の権利が与えられています。
しかし後見人に「同意権」は与えられていません。
被後見人は判断能力が不十分な為、後見人が同意しても、被後見人がその通り行動することを期待するのが難しいからです。
先に説明した「補助人」や「保佐人」との違いは判断能力の程度もそうですが、認められている権限の範囲が広いことにもあります。
後見人の代理権
契約や支払いなど全ての行為に対して代理する権限が与えられます。
ここが補助や保佐との大きな違いです。
一度後見人がつくと、本人は契約などの法律行為をすることが出来なくなります。
後見人の取消権
日常の家事・生活に関すること以外、全ての法律行為について、取消権が与えられています。
後見監督人
後見監督人とは後見人の職務が適切に行われているか監督する人のことです。
また後見人が辞任したり、解任、病気や死亡など職務を行えなくなったら被後見人は困りますよね。そんな時、後見監督人が遅滞なく次の後見人選任を家庭裁判所に対して請求します。
報酬
後見人の報酬は本人や後見人が同意したとしても当事者で決めることができず、家庭裁判所が決定します。
後見人の報酬は財産額により異なりますが、月額2万円~6万円ぐらいの範囲が相場となります。
またこの基本報酬以外に、通常の職務以外のことが発生した場合に支払う報酬もあります。(付加報酬)
後見人の職務
本人の意思決定を尊重しながら
・財産管理
・身上監護(しんじょうかんご)
を行います。
財産管理の目的は本人の財産を安全に管理し、本人の為に必要に応じて利用することです。本人にとって不必要、不利益となることは認めれれません。
また身上監護とはご本人の意思を尊重しながら心身の状態および生活環境に配慮する義務があります。生活・医療・介護などの契約手続きを進める法律行為を行い、介護などの事実行為は含まれません。具体的には「住居関連の契約」「施設関連の契約」「医療関連の契約」「介護関連の契約」になります。
後見人の解任と辞任
後見人を辞任するのにも、解任するのにも、家庭裁判所の許可が必要になります。
後見人の解任に関しては「解任事由」にあたる場合、辞任に関しては「正当な事由」がある場合に認められます。
解任事由とは、補助人や保佐人と同様「不正な行為」「著しい不行跡」「その他後見等の任務に適しない事由」です。
辞任事由とは、病気や事故によりその職務を適切に行えなくなったなどがあげれれます。
これらの解任事由がない場合、原則として後見人を解任したり辞任することはできません。
仮に、本人の判断能力が回復するなどの場合は、後見人を「取り消す」ことができますが、認知症は原則的に不可逆的であるので、その可能性は期待できません。
補助人・保佐人・後見人になれる人
法律が定める欠格事由に該当しない限り、誰でもなることができます。
①未成年者
②後見人などを解任されたことがある人
③破産者
④後見を行おうとする人に対して訴訟を起こしたことがある人やその配偶者、直系血族(親、祖父、子、孫など)
⑤行方不明の人
しかし、誰がなるのかについては家庭裁判所が適任と判断する人物を職権で選びます。
家庭裁判所より、補助人、保佐人、後見人が選任されると、その選任された人に対して単に「希望とは違うから」とういうことをもってのみ、不服を申し立てることはできないとされています。
法定後見人の判断基準
法定後見利用の流れ
STEP 1 家庭裁判所に申立書を提出する
最寄りの家庭裁判所へ申立書を提出します。
申立書は家庭裁判所のホームページで入手することができます。
この時、医師の診断書や必要書類も合わせて用意します。
※一度申立をすると、基本的には申し立ての取下げはできないので注意が必要です。申立の時に指名した後見人が選ばれなかったとしても、そういった理由で申立を取り消すことはできません。
経済力に余裕がない場合、、日本司法支援センター(通称「法テラス」)がで援助を受けることができる場合があります。
後見申立代理人費用の立替えなどを行ってくれる場合があります。
STEP 2 家庭裁判所による調査と審判
申立内容により、「補助・保佐・後見」のどれに該当するのか家庭裁判所が判断します。
この申立~調査、審判にかかる期間はおおよそ1~3ヵ月程度になります。
審判がなされると、成年後見人に「審判書」が送付されます。
STEP 3 後見の登記
正式に自分が後見人であるという事実を登記します。
法定後見は家庭裁判所が行うのに対し、任意後見では公証人が行います。
後見登記の内容は東京法務局で管理されています。
登記されていることの証明書(後見登記事項証明書)については全国の最寄りの法務局で申請できます。
登記には後見人の氏名や行うことのできる職務・権限などが記載されます。
本人の財産の管理や後見事務を行う際、この「後見登記事項証明書」が必要になってきます。
STEP 4 後見の開始
まず最初の職務として、本人の財産を調査し財産目録を作成します。
後見監督人が選任されている場合、その立会のもと作成します。
財産目録は審判が確定してから1ヵ月以内に家庭裁判所に提出します。
後見人は本人のために「何をするのか、何をすべきか」計画をたて、本人の意思を尊重し必要な後見を行います。
また定期的に後見事務の内容や財産の管理について家庭裁判所に報告を行います。
法定後見活用事例
法定後見は本人の意思を尊重し、本人の心身や生活環境に配慮し、その財産を安全に管理するための制度です。
しかし近年では認知症などで判断能力が低下した方の遺産分割問題など、相続に関する問題で後見人が選任されるケースもあります。
頼れるご家族がいる場合は判断能力が低下したとしても、家族のサポートを受け生活することはできますが、判断能力が低下すると、遺言書を書いたり相続手続きは難しくなります。
こういった「重要な財産に関すること」は本人にしかできず、またた家族であると「利益相反」という問題もあって、本人のための代理人となり遺産分割などの話し合いをすることができません。
任意後見人
任意後見人とは
将来、判断能力が不十分になった時に備えて後見人を指定しておく制度です。
判断能力がある元気なうちに、あらかじめ信頼できる人と「委任契約」を結んでおきます。
この委任契約の効力はすぐに発動するものではなく、サポート(後見)を必要とする人の判断能力が低下した時に効力を持ちます。
契約を結ぶためには日本の現行法令では
「契約締結能力」「意思能力」「行為能力」
が必要とされています。
「どういったことをすることによって」「どういった効果が発生し」「どういった状態になるか」
を理解できること。
※一般的には小学生低学年(7~10才)の精神能力とされています。
令和元年(2019年)に法務省が調査したデータによると、任意後見契約を締結する時の委任者(お願いをする人)の平均年齢は80歳で、もっとも締結した件数が多い年齢は83歳でした。
80歳~の認知症と診断された方の割合は20%を超えることから、意識される方が増えるのかも知れません。
なお令和3年(2021年)の任意後見契約の新規登録件数は約12,285件、任意後見監督人選任審判(後見開始)は687件となっています。
任意後見人の職務
任意後見人の職務は法定後見人と同じく
①財産の管理
②身上監護(しんじょうかんご)
です。
しかし、その内容はあらかじめ作成してある「委任契約書」の内容に従って行われます。
本人の希望に基づき、必要なもの、希望するものをお願いし、支援します。
任意後見契約の契約形態
任意後見契約の種類として一般的なものは3種類あります。
・即効型
任意後見契約締結後、直ちに任意後見監督人を選任して効力を発行させるもの
・移行型
財産管理と合わせて将来判断能力が低下した時に後見契約を発動させるもの
・将来型
認知症になる前の財産管理は含まず、将来判断能力が低下した時のみその効力が発動するもの
令和元年のそれぞれの利用割合は即効型(1%)、移行型(75%)、将来型(24%)です。
任意後見契約は公正証書によらなければならず、登記も必要です。
任意後見監督人
法定後見人は家庭裁判所の判断によるのに対して、任意後見の場合、必ず家庭裁判所より後見監督人が選任されます。
任意後見人が被後見人(支援を必要とする人)のサポートを行う、その職務を後見監督人がチェックします。
また任意契約で定められた後見監督人の同意が必要な行為につき精査します。
任意後見監督人の選任を申し立てる時期ですが、任意後見契約に関する法律4条1項で「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況」とされています。
これは法定後見の「補助」開始の要件と同程度になります。
また任意後見監督人の選任を申立てる場合、本人の同意が必要になります。
万が一同意が得られない場合でも「本人がその意思を表示することができない時」であれば、任意後見監督人を選任することができます。
任意後見人の報酬の目安
任意後見人の報酬は0とすることもできますし、委任者、受任者の同意の金額を設定することができます。
一般的な報酬の相場は以下のような金額となっています。
財産額 5,000万円未満
後見人
親族 無償~2万/月(550ヶ月/45年)
専門職3~4万/月
後見監督人 1~2万/月
財産額 5,000万円以上
後見人
親族 無償~3万/月
専門職 5~6万/月
後見監督人 2.5万~3万
※出典:東京家庭裁判所HPより
任意後見人の解任
解任は正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得てすることができます。(基本的には一度就任すると解任はできません)
・任意後見人に不正行為や著しい不法行為その他任務に適さない事由がある時は家庭裁判所は任意後見監督人や本人などの請求により解任させることができます。
任意後見利用の流れ
STEP1.任意後見人を選ぶ
基本的には誰でもなることができます。
ただし未成年者、庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人破産者、被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族、行方の知れない者はなることができません。
また被後見人を生前ずっと見守り続けられる方がいいので、年齢は被後見人より一回り下の方が推奨されています。
一般的には親族もしくは弁護士や司法書士、行政書士など士業が選ばれることが多いです。
STEP2.委任者と受任者で後見事務の内容を決める
・財産管理
自宅等の不動産や預貯金等の管理、税金や公共料金の支払い等々
・療養看護(身上監護)
介護サービス提供契約の締結、医療費、介護サービス費用の支払い
※委任者を守るための制度なので財産面、療養面からサポートする「意思」「寄り添う心」が大切です。
具体例
1不動産,動産等すべての財産の保存,管理及び処分に関する事項
2金融機関,郵便局,証券会社とのすべての取引に関する事項
3保険契約(類似の共済契約等を含む)に関する事項
4定期的な収入の受領,定期的な支出を要する費用の支払に関する事項
5生活費の送金,生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常関連取引(契約の変更,解除を含む〉に関する事項,
6医療契約,入院契約,介護契約その他の福祉サービス利用契約,福祉関係施設入退所契約に関する事項
7要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立て並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む)の申請及び決定に対する異議申立てに関する事項
8シルバー資金融資制度,長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項
などがあげられます。
STEP3.公証役場で公正証書を作成する
作成した契約書案をもとに、最寄りの公証役場へ出向き公正証書を作成します。
STEP4.任意後見人の登記がされる
公証人の嘱託により、法務局で後見登記がなされます。
[任意後見開始時]判断能力が低下した後
STEP1.家庭裁判所に後見開始の審判の請求をする
家庭裁判所に後見監督人専任の申し立てをする
・本人
・配偶者
・4親等内の親族
・任意後見受任者
などが申し立てることができます。
STEP2.後見監督人が選出される
家庭裁判所より後見監督人が選任されます。
STEP3.後見事務開始
あらかじめ作成してある「任意後見契約書」にもとづき、必要な後見事務を行います。
STEP4.後見監督人に対して定期的に報告書の提出をする
任意後見活用事例
法定後見人は裁判所へ申し立てる時、申立書に後見人希望者を記載しますが、必ずしもその希望が叶うとはかぎりません。
全く知らない他人が、本人の財産を管理したり、身上監護を行うこともあります。
「そういったことを避けたい場合」、「あらかじめ、信頼できるお願いしたい人がいる場合」など、任意後見契約を結んでおき備えておくと安心です。
後見事務の大変なこと
・取引相手によっては後見人制度を知らず、理解してもらるよう法的根拠をもって説明しなければならない
・急な病院への付き添いや呼び出しに対応
・介護施設入居時や入院時など契約書、承諾書などの読み込み
・福祉関係融資制度の利用に関する事項の調査および手続き
・委任者との定期的な面談
・行った事務に関して報告書を作成し、通帳のコピーなどを添えて後見監督人に提出(大体3ヶ月に1回など)
専門的な知識を要することも多く、煩雑な手続きが必要となることもあります。
市民後見人
大阪市民後見人
大阪市社会福祉協議会に「大阪市成年後見支援センター」というところがあります。
そこでは市民後見人と呼ばれる方々が後見を必要としている人々のサポートを行っています。
市民後見人養成講座を受講し、後見活動を行います。
通常、法定後見人や任意後見人は受任者への報酬が発生する事が多いのですが、この市民後見人は、ボランティア・市民活動として活動経費を除き無償で後見を行っているようです。後見を依頼するための十分な資産がない方は一度相談されるのもいいかもしれませんね。
成年後見人等の報酬の助成
各都道府県の市区町村で、一定の条件を満たした方に対して費用の一部または全部の助成を受けれる場合があります。
ここでは大阪市の場合をご説明します。
相談窓口:
- 後見等開始の申立人が大阪市長の場合は、市長申立てを行った区の保健福祉センター(高齢者福祉または障がい者福祉の担当)へ相談してください。
- 後見等開始の申立人が大阪市長以外の場合は、お住まいの区の保健福祉センター(高齢者福祉または障がい者福祉の担当)へ相談してください。
対象となる方:生活保護受給者またはそれに準じる方(要保護者)で費用の支払いが困難な方
申請期日:家庭裁判所の報酬付与の審判から3ヶ月以内の申請が必要です。
助成上限額:在宅:月額28,000円以内、施設入所:月額18,000円以内
まとめ
後見人制度は比較的まだ新しい制度で利用者数も年々微増といったところです。
まだあまり多く利用されていない理由として、
・月々の費用がかかる
・後見人としての職務、後見監督人・裁判所への報告などすることが多い
などが理由となっているのではないでしょうか。
後見人を利用する時は、内容、メリット、デメリットをよく考え検討するようにしましょう。
遺言書に書いて効力があるものは法律で決められています。
しかし法的な効力はなくても遺された方へのメッセージとして遺言書に「想い」を記しておくことはとても大切です。
遺された人たちはどうしてあなたがそのような内容の遺言書を書いたのか理解することができ、あなたの気持ちに寄り添うことでその遺言の内容を受け入れやすくなります。
またあなたの「想い」を知ることで相続人同士の不要な争いを避けることができます。
「死」という悲しい出来事がおきた最中にある相続。