お墓の終活~お墓について考える

お墓

私は日頃、終活・遺言・相続に関するご相談をお受けしています。

先日、

「夫と同じお墓に入りたくない」

というご相談を受けました。

調べてみると、最近そういったこと希望される方が増えているようです。

ご夫婦で別々のお墓に入ることはできるのでしょうか。

結論としては、

①できるだけ家族の同意を得るようにする

②希望をわかるようにしておく

③他の人に事前にお願いしておく

 

ことで可能なようです。

 

ではここからはお墓のことについて少し学んでいきましょう。

 

お墓の現状

少子高齢化の影響や家族のかたちの変化、社会問題により、人々のお墓に対する考えが変化しています。

「お墓を持たない」という人も増えてきており、手元供養や散骨という選択をされる方も増えてきています。

もし、ご自身が「お墓は不要」だと考えるのであれば

・ご自身の遺骨をどうして欲しいのか

・ご家族のお墓をどうするのか

を考えておきましょう。

 

お墓の終活をするメリット

お墓の終活をすることで、次のようなメリットがあります。

・希望通りのお墓のかたちにすることができる

事前に準備しておくことでご自身の希望通りにすることができます。

・遺族の負担が減る

もし生前に入るお墓が決まっていなければご家族がその手配をすることになります。

またお墓はあるけれども、子供がいないご夫婦などその墓を維持・管理する承継者となる人がいない状況であれば遺骨をどうするか、残されたご家族の負担となります。

事前に状況を判断し、残された方のことも考え準備しておくようにしましょう。

 

ここからは、大きく分けて

・お墓に入ることを希望する場合

・お墓をやめたい場合

について考えていきましょう。

 

お墓に入ることを希望する場合

先祖代々の墓に入る

先祖代々のお墓にはそのお墓の承継者と墓地の管理者の許可があれば誰でも入ることができます。

また墓地の「利用規約」により、納骨できる人の範囲が定められていることが多いです。

墓地利用規約の例

・永代使用権者の家族

・永代使用権者と4親等以内の親族

・永代使用権者と苗字が同じ親族

・檀信徒

 

結婚(入籍)していない人や、同居のパートナーは一緒のお墓に入れないの?

厚生労働省の「墓地使用に関する標準契約約款」では墓地を使用できる者として「使用者の親族および縁故者」としています。
この「縁故者」として認められれば可能かもしれませんね。
内縁の妻などは相手方に正妻(正夫)がいない場合、認められる傾向にあります。

お墓に関する法律

お墓に入る人については法律に定められていません。

しかし、「お墓の承継者」については祭祀承継者といって遺言によって指定できるとされています。

他にお墓に関する法律では「墓地、埋葬等に関する法律」がありますが、これはお墓に納骨できる人の範囲についての指定はありません。

永代供養墓に入る

永代供養墓とは霊園や墓地の管理者がご家族に代わって供養・管理をしてくれるお墓です。

お墓の維持や管理をする人がいなかったり、またいたとしても、お子さんなどその方の負担となると考えて利用される方が多いです。

霊園や墓地の管理者が永続的に供養と管理をしてくれるので安心です。

ただ「永続的に」といっても1年や20年など期限を設けているところがほとんどです。

 

永代供養墓のメリット
・お墓の維持、管理が不要
・費用を抑えられる
・宗教や宗派を問わない事が多い
永代供養墓のデメリット
・家族や親族から理解を得られない場合がある先祖代々のお墓があるところでは、その土地の慣習や風習により新しいお墓のかたちに理解を得られない場合があります。

永代供養墓の種類

納骨堂

納骨堂

 

 

納骨堂とは屋外にある墓地ではなく、屋内で遺骨を納められるところです。

都道府県知事の許可が必要となっており、お寺等であっても許可がなければご遺骨を長期間お預かりすることはできません。

納骨堂の利用には通常10年や30年など期間を定めて申しみをします。

期間が終了した後は供養塔などへ合祀されます。

供養塔※供養塔

納骨堂を選ぶメリット
・跡継ぎの心配がいらない
・屋外に比べキレイで管理が行き届いている。
・アクセスが良いとことが多く、お参りしやすい
・一般的なお墓に比べ費用がかからない

 

納骨堂のデメリット
・納骨スペースに限りがある
・建物の老朽化などの可能性
・お線香を焚けない
・最終的には合祀される

 

散骨

散骨とは粉末状にした遺灰をを海や自然に撒く供養の方法です。

遺骨を遺骨だとわからないように2ミリ以下に粉骨する必要があります。

もし、遺骨を砕かずに散骨した場合、「遺骨遺棄罪」にあたる可能性があるので注意が必要です。

現行法では、散骨を規制する法律がないため、散骨を行うことは問題ありませんが、場所については他の人の私有地や公共施設などでは行うことができません。

近年では海洋散骨を事業として行う企業がでてきたり、「宇宙散骨」を行っているところもあります。

 

海での散骨

海洋散骨の注意点

海で散骨する場合、海の中に住む生物に影響を与えないか、また漁業・養殖場を行っているところでは漁師さんとトラブルにならないか、海水浴場付近では近隣住民などとトラブルにならないか、など配慮が必要です。

山での散骨

山での散骨と聞くと「樹木葬」を思い出される方がいらっしゃると思いますが、厳密には異なります。

樹木葬はご遺骨を「埋葬する方法」となり、遺骨を粉砕して行うものではありません。

山での散骨の注意点として、他人の所有の山に撒くことはできません。

また自治体によっては散骨を禁止しているところもあるので注意が必要です。

散骨のメリット
・一般的なお墓より費用がかからない
・お墓の維持、管理が不要なため残された遺族の負担が減る。費用がかからない。
・宗教や宗派にとらわれずに利用できる。
散骨のデメリット
・周囲の理解が得られにくい
・お墓参りのように故人を思いしのぶ場所がない

樹木葬

近年「樹木葬」を希望する方が増えてきています。

・跡継ぎの心配がいらない

・自然に還るようなイメージが持てる

・お墓の維持・管理が不要

・お花が好きなため、自分に一番合っている

といった理由で選ばれる方が多いようです。

 

集合墓・共同墓

合祀タイプの初めから他の方と一緒に埋葬する永代供養墓です。

他の永代供養墓と比べて費用が最も安く抑えられます。

 

お墓をやめたい場合

お墓を維持・管理することが難しい場合、墓じまいを検討します。

墓じまいとは

墓じまいとはお墓を解体して更地にすることです。

・お墓の跡継ぎとなる承継者がいない

・お墓が遠方にあり維持・管理ができない

といった場合に利用されます。

少子高齢化や家族のかたちの変化など時代の変化によって墓じまいをする人は年々増えています。

墓じまいに係る費用

じまいにかかる費用の相場は50万~100万前後です。

その内訳は

・墓石撤去費用

・閉眼供養の御布施代(3万円~5万円)

・離檀料(3~20万円)

になります。

 

墓じまいの離檀料について

お寺にある墓地で高額な「離檀料」を請求されトラブルになったケースがあります。400万円請求されたケースも離檀料には法的な義務はありません。しかし長年お世話になったお礼も含め、いくらかお布施として包むのがよいでしょう。

墓じまいの流れ(合祀墓などに移す場合)

移転先のお墓で「受入証明書」を発行してもらう。

移転元の市区町村役場で「改葬許可申請書」をもらう。

現在の墓地の管理者に「改葬許可申請書」の「埋蔵事実証明書」に署名・捺印してもらう。

改葬許可申請書と受入証明書を現在の墓地がある市区町村役場に提出する。

市区町村役場から「改葬許可証」を受け取る。

墓地の管理者に「改葬許可証」を提示し、遺骨を取り出してお墓を撤去する。

移転先の墓地の管理者に「改葬許可証」を提出し、納骨する。

 

お墓の引っ越し

墓じまいだけでなく、遺骨を移す改装は年10万件超え、年々増加しています。

都心部への人口移動と少子化が理由だと考えられています。

改葬には現在のお墓がある移転元でかかる費用と引っ越し先の移転先にかかる費用がかかります。

 

まとめ

時代の変化とともにお墓のかたちも変化しています。

お墓のことはご自身のことも考えながら、残された人たちの気持ちや負担も考える必要があります。

現在様々なお墓のかたちがあるので、元気なうちに考えてできることから準備しておきましょう。

霊園や墓地、終活の相談所など無料で相談できるところもありますので可能であれば専門家の意見も聞けるといいですね。