遺言書はなぜ必要か?相続トラブル増加への対策

遺言書-夫婦

遺言書はなぜ必要か?

「相続トラブル」

皆さんも何度か耳にしたことがあるのではないでしょうか。

最近は財産額の多寡にかかわらず、相続時の遺産分割をめぐるトラブルが増えています。

家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の調停や審判は年間1万件以上あります。

そのうち遺産額が5,000万円以下の事案が約77%、1,000万円以下の事案が約30%になります。

 

家庭裁判所

 

「相続争い」というと、よく映画やドラマであるような、

「資産家が遺産を巡って相殺人事件が起こる」

なんてことが想像されますよね。

しかし、現実はお金持ちだから、資産があるから起こる

というわけではないんですね。

 

少額であるがゆえにその少ない遺産を巡って争いになる。

「お金が無い」から少しでも財産を欲しいと思って争いになってしまうんですね。

 

またインターネットの普及により誰でも手軽に瞬時に情報を集めることができるようになりました。

社会情勢の変化と権利意識の高まりにより、それぞれが得た情報をもとに自己の権利を主張するようになったことも相続争いが増えた要因ではないでしょうか。

ただインターネット上の記事は全て正しい内容のものばかりというわけではありません。

また個々の状況によっても相続の内容は変わってきます。

ご自身で判断し、自己の権利を主張する前に「不要な相続争い」にならないよう弁護士などの専門家へ相談されることをおすすめします。

最近では士業や金融機関なども無料で相談を行っているところもありますからね。

 

さて、本題に戻ります。

遺言書を作成しておいた方がいい理由は大きく分けて次の2つに分けられます。

遺言書を作成しておいた方がいい理由その①不要な相続争いを防ぐため

「私の家は家族円満だから争族にはならないし、相続対策なんて大丈夫だよ~」

という方がいらっしゃいます。

しかし、大丈夫だと思っているのは当人だけで、親が亡くなった後、話し合いがまとまらずに揉めてしますケースはたくさんあります。

 

もめる理由としてよくあるのは、

1.兄弟のうち一人が親の介護を担っていた。

2.生前に結婚資金や、住宅購入費、大学の資金など他の兄弟よりも多くの援助を受けている。

3.兄弟のうち1人が家業を継いでいる

などがあります。

 

「揉めない」と思っているのは当人だけで、実際は高確率で揉めてしまいます。

また、遺言書がなく「争族」に発展してしまう主なパターンとして被相続人の財産のほとんどが土地や家屋などの不動産であるという場合です。

 

不動産

 

現金や預貯金は「可分財産」として分けることができますが、不動産や宝石、骨董品などの動産は現実的に半分に分けるというのは難しいです。

もし、財産のほとんどが動産や不動産などの分割できないものである場合、

・「共有」という形で財産を相続する

・売却して金銭に換価し分割する

・相続した人が他の相続人に差額分を支払う

という方法をとることになります。

 

もし「差額分を支払えない」など話し合いがまとまらないと、残された配偶者や従前そこに住んでいた子などはその家に住み続けることが困難となってしまいます。

それに昔からその家に住んでいるといだけで金銭を渡すというのも納得いかないと感じることもありますよね。

 

そういった「争族」争いによる家族関係の破壊を予防するためにも「予防対策」として遺言書を作成しておくことが望ましいです。

 

遺産が原因で家族の関係が壊れてしまうのは悲しいし、避けるべきですよね。

 

ここでは特に遺言書を作成しておいた方がいいケースをいくつか挙げておきます。

・残された人たちが不要な争いをするのを避けたい時

・特定の人に遺産を多く残したい時

相続人以外の人(内縁の妻や世話になった人)に遺産を遺したい時

・相続人から廃除したい人がいる時

・相続人にしたい(認知したい)子がいる時

・遺言執行者を指定したい時

 

なお、民法で規定されている法定相続分はあくまでも目安です。

 

実際の相続では、相続人それぞれの個々の事情なども考慮され、遺産分割協議により法定相続分と変わることもあります。

 

遺言書を作成しておいた方がいい理由その②手続きの負担を減らすため

遺言書がないと相続人は、相続人全員で財産の分け方について話し合わなければなりません。

ここで法律で「相続人全員で」と決まっているので、一人でも欠けてされた話し合いは無効となります。

ちなみにここでいう話し合いとは一同が同じ場所に集まって向かい合って話し合わなければならないというものではありません。

 

個々の話し合い、電話での話し合いでも、最終的に決定した内容に相続人全員が合意していれば大丈夫です。

この話し合いで相続人の中に

・「認知症」の人がいる場合

・「未成年者」がいる

・「行方不明」の人がいる場合

これらの人はその話し合いに参加することができません。

よってこれらの人の代わりになる「代理人」を家庭裁判所に申立なければなりません。

 

裁判所

場合によっては、永年、亡くなるまで月々数万円の代理人費用がかかるケースもあります。

このように、相続手続きをするための「話し合い事態が困難な状況」となってしまうということがあります。

 

また話し合いをする前の段階で、相続手続きで行わないといけない「相続人調査」や「相続財産調査」は煩雑な手続きも多く、時間と手間がかかります。

日常にはない不慣れな手続きをしなければならない、場合によっては期限が決められているものもあり、相続人の負担となります。

遺言書を作成しようとまだ心が決まらない場合でも、財産をわかるようにしてメモなのに残しておくと、相続人の負担を少し減らすことができます。

 

まとめ

遺言書がないと、残された人たちにとって

①不要な「相続争い」を生む可能性がある

②相続人の状況によって手続きをするのが難しい状況となってしまう。

ということがあります。

 

「相続対策」というと皆さん、「相続税対策」、

「お金をどれだけ損しないように対策しておくか」ということに意識が向きがちです。

 

しかし、重要なのはそこではありません。

 

お金の対策ももちろん大切です。

しかし「相続対策」とは「遺された人たちが、仲良く、支え合い、家族円満に暮らしていけるように対策をしておく」ことが重要だと当事務所は考えます。

大切なご家族が亡くなって、その悲しみをご家族で慰め合えたら良いものなのに、争いがおきてしまう。

本当に悲しいことですよね。

話し合いで弱い立場の人が丸め込まれたりすると、丸め込まれた側はずっと憤りが残ることでしょう。

「相続」ではなく、悲しい「相続」とならないために、「遺言書」というできる準備をしておくことをおすすめします。

 

 

 
気持ちの伝わる遺言書を
遺言書に書いて効力があるものは法律で決められています。

しかし法的な効力はなくても遺された方へのメッセージとして遺言書に「想い」を記しておくことはとても大切です。

遺された人たちはどうしてあなたがそのような内容の遺言書を書いたのか理解することができ、あなたの気持ちに寄り添うことでその遺言の内容を受け入れやすくなります。

またあなたの「想い」を知ることで相続人同士の不要な争いを避けることができます。

「死」という悲しい出来事がおきた最中にある相続。
少しでも遺された方があなたの思いに寄り添い、あなたの想いを受け止め、前向きに生きていける遺言になればと思います。
 

 

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