再婚した方の遺言書 / 法定相続人と遺留分に注意する

遺言書

 

前妻との子と後妻との子が相続人の場合の遺産分割協議では高確率でもめてしまいます。

多くの場合、前妻との子と後妻との子は面識がなく、「赤の他人」であり状況によっては父親を「取った、取られた」など負の感情を抱いている場合も少なくありません。

そこで遺言書を作成し、争いにならないように備えておくことが重要です。

そして再婚した方が遺言書を残す場合、法定相続人法定相続分を考えながら作成していくことが重要です。

なぜなら相続人には基本的に遺留分(いりゅうぶん)という最低限度分の遺産を相続できる権利があるからです。

 

遺留分のある相続人

 

 

前妻の子が遺留分を請求すると、今の配偶者や子が住み慣れた家に住み続けることができなくなるなんてことがあります。

そうならない為に、しっかりと遺留分に配慮した遺言書を作成し準備をしておきましょう。

それぞれの状況により法定相続人法定相続分が変わるので簡単にご説明します。

 

1.法定相続人・相続分のパターン

1-1.前妻との間にも後妻の間にも子供がいる場合

この場合、前妻と後妻どちらの子供も同じだけ相続分があります。

そして現在の配偶者にも相続分があります。

例えば不動産2,000万、預貯金が4,000万ある場合、後妻、後妻との子、前妻との子で分けることになります。

法定相続分は配偶者が1/2で3,000万、子供がそれぞれ1,500万ずつです。

遺留分は法定相続分の1/2と決まっています。

この場合、

配偶者が1,500万

子供がそれぞれ750万

ずつです。

遺留分

この場合、前妻は法定相続人にはなりません。

後妻の子はいずれ妻(母)が亡くなった時に後妻が被相続人から受け取った財産を相続することになります。

もし、不動産の価額より預貯金が少なく、金銭が工面できない場合、不動産を共有するか、売却して現金を用意しなければなりません。

そうすると、現在の配偶者や子供は住み慣れた家を手放さなければならなくなるかも知れません。

そうならないためにも遺言書できっちり配偶者居住権について明記しておくのも一つの対策かも知れません。

配偶者居住権は一定の要件を満たせば配偶者が生涯にわたりその住居に住み続ける権利を保障するもので遺言書によって設定できます。

この時、遺言書にはふつう相続人に対して「相続させる」と記載しますが配偶者居住権を設定する不動産に関してはここでは「遺贈する」と記載しておきましょう。

これは配偶者居住権が「遺贈によって取得する」とされていることと、配偶者が配偶者居住権の取得を希望しない時この権利のみ放棄することができます。

もし「相続させる」と明記すると配偶者居住権を放棄したい時、他の相続財産と一緒に相続放棄しなけばならなくなります。

配偶者居住権は「遺贈する」と明記する。

1-2.前妻との間に子供がいて後妻との間に子供がいない場合

遺留分

この場合後妻の配偶者の法定相続分が1/2で3,000万、前妻との間の子どもの法定相続分が1/2で3,000万です。

遺言書がなく、遺産分割協議もまとまらない場合、配偶者は住み慣れた家に暮らしたいので不動産2,000万円と預貯金1,000万、前妻の子どもが預貯金3,000万を受け取ることになりそうです。

そうなると配偶者は預貯金が1,000万しかなく老後の生活が心配です。

この場合も遺言書の中で「配偶者居住権」を設定しておくと配偶者は所有権は手放すけれどもその家に住み続ける権利を取得できるので安心です。

もしくは配偶者に全て相続させ、子供がいないので後の所有者を指定するという方法も考えられます。

 

 

1-3.前妻との間に子がいなく、後妻との間にだけ子どもがいる場合

この場合は前妻には法定相続分はないので今現在の配偶者と子どもに遺産が相続されます。

遺留分

配偶者が1/2で3,000万、子どもも1/2で3,000万相続します。

子どもが別世帯で暮らしており、配偶者が住み慣れたこの家で暮らし続けたいなどの場合は、先程同様遺言書で「配偶者居住権」を設定しておくと安心です。

これら上記に上げた3つの状況により法定相続人、法定相続分が確認できたところでつぎに、「遺留分」に注意しながら遺言書を作成します。

 

 

2.遺言書がないとどうなるか

いずれの場合も遺言書がない場合、法定相続分通りに相続するか、もしかすると面識のない者同士で遺産分割協議を行う必要があります。

場合によっては子どもがおらず、配偶者が被相続人の親兄弟と遺産分割協議をしなければならなくなるかもしれません。

また遺産が預貯金が少しと不動産しかなく、遺言書がない場合、今住んでいる家が今の妻と子供、前妻の子供の共有状態となってしまうこともあります。

状況に合わせて遺言書を作成し、遺された人が大変な思いをしなくてすむように準備しておくと安心です。

遺言書は遺された人の安心のためでもあるんだね。

 

3.連れ子同士の再婚

連れ子同士で再婚した場合、養子縁組をしなければ、再婚相手の連れ子はどんなに長く一緒に暮らしていたとしても遺産を相続することはできません。

この場合も養子縁組をしておくか、遺言書を書いておくことが必要となります。

相続は戸籍を基準として行われます!

 

 

 
気持ちの伝わる遺言書を
遺言書に書いて効力があるものは法律で決められています。

しかし法的な効力はなくても遺された方へのメッセージとして遺言書に「想い」を記しておくことはとても大切です。

遺された人たちはどうしてあなたがそのような内容の遺言書を書いたのか理解することができ、あなたの気持ちに寄り添うことでその遺言の内容を受け入れやすくなります。

またあなたの「想い」を知ることで相続人同士の不要な争いを避けることができます。

「死」という悲しい出来事がおきた最中にある相続。

少しでも遺された方があなたの思いに寄り添い、あなたの想いを受け止め、前向きに生きていける遺言になればと思います。

 

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