親に遺言書を書いてもらいたい~伝え方の方法6選と手続きの流れ
兄弟同士が不仲な場合など、将来起こる相続のことで揉めるかも知れないと不安になることもありますよね。
遺言書があると相続人の負担は軽減され、親族間での関係性を悪化させることを防ぐことができます。
けれども親に直接「遺言書を書いて」なんて言いにくいですよね。
遺言書など「死」をイメージさせるものは人によって悲しく辛い気持ちになります。
ではどのように伝えたらよいのでしょうか。
本記事では伝え方の方法いくつかと遺言書作成の手続きの流れをご説明します。
そのまえに1つご留意下さい!
遺言書はご本人の意思によって書く必要があるので内容に関しては云わないように注意しましょう。
[伝え方の方法] その①セミナーに参加する
超高齢化社会の現在、地域の自治体や士業事務所などでたくさん「終活」や「遺言・相続」に関するセミナーが開かれています。
無料で開催しているところもたくさんあるので「とりあえず相談だけ」という気軽な気持ちで参加してみることをお勧めします。
こういった遺言書作成の相談会やセミナーには親子で参加される方もたくさんいいらっしゃいます。
「終活が流行ってるみたいだし、無料だから一度一緒に行ってみようよ」と誘い出すのもいいかも知れません。
[伝え方の方法]その②メディアを活用する
遺言相続はたくさんの人に関わる問題で関心のある事柄です。
そのためテレビ番組などで特集があったり、ニュースの一部コーナーとして取り上げられたりしています。
ご自宅のテレビでそのような内容を目にした時、ふんわりと話題にするのはどうでしょうか。
自然に遺言や相続に関する話し合いができるかも知れません。
[伝え方の方法]その③単刀直入に不安に思っているなどの気持ちを伝える
日頃から比較的なんでも話せる関係性があれば素直にその気持ちを伝えるのがいいでしょう。
終活は遺言書作成だけではありません。これをきっかけに認知症になった時など老後どうしたいのか、どうして欲しいのか親の本音、気持ちを聞くいておくことも重要です。
[伝え方の方法]その④自分も一緒に書いてみる
遺言書は何度でも書き直すことができます。
そして後に書いた日付の遺言が有効になります。
「一生に一度のことだから」と考えすぎて躊躇わず、自分も一緒に一度書いてみようと提案するのもいいかもしれません。
状況が変わることもありますし、何度でも変更や書き直しができます。
[伝え方の方法]その⑤身近にあったトラブル例を話す
自分の友人や知人でこんなことがあったなどと話すのもいいでしょう。
身近な具体的事例を出すことで遺言書の必要性を認識し書こうという気持ちが自然に沸き起こるかもしれません。
この方法が一番ハードルが低い方法かも知れませんね。
[伝え方の方法]その⑥遺言書がない場合のデメリットを話す
遺言書がない場合、金融機関での口座の解約手続きや不動産の名義変更など多くの相続手続きで「遺産分割協議書」などの書類が必要になってきます。
これは相続人「全員」で協議し、作成、署名、実印での押印が必要になります。
遺言書がないと相続人全員で手続きを進める必要があり、話し合いがまとまらないと相続手続きを進めることができない状況になります。
協議がまとまらず長引くとそれだけ金融機関からお金を引き出すことができなかったり、3ヵ月という期間が決められている相続放棄ができないなどのリスクがあります。
また相続税の申告にも期限があります。
注意点
無理やり書かせた遺言は無効です。
どのような内容の遺言にするかの判断は親自身が行うものです。
大切なのは「遺言書の必要性を理解」し、「行動しようと思える気持ち」になることです。
それから遺言書の書き方には一定のルールがあります。
下記の手続きの流れを参考にし、確認しながら作成してください。
自筆証書遺言作成の流れ
まず、ご自身で「誰に」「何を」「どれだけ」残したいのかを考えます。
そして、遺言書を書く時、「誰に」は氏名(フルネーム)と生年月日を記載します。
「何を」の財産に関しては、預貯金は金融機関名、支店名、口座番号を正確に記載し、不動産に関しては登記事項証明書記載のとおりに書きます。
この財産に関しては2020年の民法改正によち財産目録の添付でも可能となりました。
また日付や自署、押印も必ず必要です。
詳しくはこちらの記事をご参照ください
公正証書遺言の作成の流れ
公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言書のことです。
公証役場は全国におよそ300か所あり、最寄りの公証役場で作成します。
公正証書遺言は作成に手間と時間がかかりますが、確実性や遺言書に書いてある内容の実現性が高いなどのメリットがあります。
これはどういうことかというと、自筆証書遺言の作成時に内容に不備があった場合、遺言書が無効となってしまうということがあるからです。
なかなか専門家でないと法的に有効な方法で間違いなく作成するのは難しいかもしれません。
まとめ
自筆証書遺言で作成する場合も公正証書遺言で作成する場合も法的に有効なきちんとした遺言書を作成したい場合は、一度専門家にご相談されることをお勧めします。
きちんと事前準備をしておくことで不要な争いを避け、家族円満になるといいですね。
遺言書に書いて効力があるものは法律で決められています。
しかし法的な効力はなくても遺された方へのメッセージとして遺言書に「想い」を記しておくことはとても大切です。
遺された人たちはどうしてあなたがそのような内容の遺言書を書いたのか理解することができ、あなたの気持ちに寄り添うことでその遺言の内容を受け入れやすくなります。
またあなたの「想い」を知ることで相続人同士の不要な争いを避けることができます。
「死」という悲しい出来事がおきた最中にある相続。