障害のある子の「親亡き後」問題|お金・暮らし・支援について今からできる備え

障害のあるお子さんを持つ親御さんにとって、

「自分たちがいなくなった後、この子はどうやって暮らしていくのだろう」

ということは、大きな心配のひとつではないでしょうか。

お金を残しておけば安心なのか。
今の住まいで生活を続けられるのか。
財産や日々のお金は誰が管理するのか。
困ったときには誰が助けてくれるのか。

いわゆる「親亡き後問題」は、相続や財産だけの問題ではありません。

**「お金」「暮らし」「支えてくれる人」**の3つを一緒に考えておくことが大切です。

親御さんが元気なうちからできる備えについて、一つずつ考えてみましょう。

1.親亡き後には、どんな問題が起こる?

まず考えてみたいのが、現在、親御さんがお子さんのためにしていることです。

たとえば、

  • 預貯金や生活費の管理
  • 食事や買い物など日常生活のサポート
  • 病院への付き添い
  • 福祉サービスや行政手続き
  • 住まいの管理
  • 困ったときの相談や判断

など、日常の中でさまざまなことを親御さんが担っていることがあります。

親御さんが高齢になったり亡くなったりしたとき、それらを誰が担うのか。

まずは、「今、親がしていること」を整理することが、親亡き後への備えの第一歩です。

2.「お金を残す」だけではなく「どう管理するか」まで考える

「自分が亡くなった後、困らないようにできるだけ財産を残してあげたい」

そう考える親御さんは少なくありません。

しかし、大切なのは財産の金額だけではありません。

本人が自分で預貯金を管理したり、大きな契約をしたりすることが難しい場合には、残された財産をその後どのように管理していくのかも考えておく必要があります。

また、ほかに相続人となる子どもがいる場合には、「障害のある子に多く財産を残したい」と考えることもあるでしょう。

その場合には、ほかの相続人との関係や遺留分なども考慮しながら、遺言書などによって財産の残し方を決めておくことが大切です。

生命保険や信託などを利用する方法が適している場合もあります。

家庭によって財産状況や家族関係は異なるため、「いくら残すか」だけではなく、「どのような方法で残し、その後どう管理するのか」まで考えることがポイントです。

3.親がいなくなった後「どこで暮らすか」を考えておく

親亡き後を考えるとき、お金と同じくらい重要なのが「暮らし」です。

現在、親御さんと一緒に生活している場合、

「親がいなくなった後も自宅で生活できるのか」

「グループホームなどを利用するのか」

「日常生活で必要な支援を誰にお願いするのか」

などを考える必要があります。

親御さんが元気なうちから福祉サービスや相談先につながり、将来どのような生活を希望するのかを少しずつ考えておくことで、急に親御さんが支援できなくなった場合にも対応しやすくなります。

4.財産管理や契約を支える仕組みを考える

障害の程度などによっては、本人が財産管理やさまざまな契約を一人で行うことが難しい場合があります。

そのような場合に利用される制度の一つが、成年後見制度です。

成年後見制度では、本人の判断能力などに応じて、家庭裁判所が選任した成年後見人等が、本人の財産管理や契約などを支援します。

ただし、障害があるからといって必ず成年後見制度が必要になるわけではありません。

本人の判断能力、財産状況、生活環境などによって必要となる支援は異なります。

将来どのような支援が必要になりそうなのかを、早めに整理しておくことが大切です。

5.親以外にも「本人を知っている人」を増やしておく

親亡き後への備えで、とても大切なのが、親御さんだけが本人のことをすべて知っている状態にしないことです。

たとえば、

「どこの病院に通っているのか」

「どんな薬を飲んでいるのか」

「何が得意で、何が苦手なのか」

「どんなときに不安になりやすいのか」

「どのような福祉サービスを利用しているのか」

といった情報を、親御さんだけが把握していることがあります。

相談支援専門員、市区町村の障害福祉の窓口、福祉サービス事業者、医療機関など、親御さん以外にも本人のことを知り、相談できる人や機関とつながっておくことが将来の安心につながります。

6.「きょうだいがいるから大丈夫」と考える前に

障害のある方に兄弟姉妹がいる場合、

「自分たちがいなくなったら、弟や妹にお願いしよう」

と考えている親御さんもいらっしゃるかもしれません。

もちろん、きょうだいが大切な支えになることもあります。

一方で、きょうだいにも仕事や家庭、自分自身の生活があります。

財産管理、行政手続き、通院、日常生活の支援など、すべてを一人のきょうだいに任せることは、大きな負担になる可能性があります。

家族だけですべてを抱えるのではなく、福祉サービスや専門職なども含めて役割を分ける。

そんな仕組みを親御さんが元気なうちから考えておくことも、親亡き後への大切な備えです。

7.親がしていることを「引き継げる形」にしておく

将来に備えて、本人についての情報をまとめておくこともおすすめです。

たとえば、

  • 預貯金や収入など財産に関すること
  • 障害年金などの収入
  • 利用している福祉サービス
  • 通院先や服薬について
  • 現在の住まい
  • 緊急時の連絡先
  • 本人ができること・苦手なこと
  • 本人の希望や好きなこと
  • 親が現在行っている支援

などです。

難しい書類を作る必要はありません。

大切なのは、**「もし明日、自分が支援できなくなったとしても、別の人が本人の生活を引き継げるか」**という視点で整理しておくことです。

親御さん自身の終活と一緒に、少しずつ準備しておくとよいでしょう。

8.親亡き後の備えは「遺言書を作れば終わり」ではありません

親亡き後への備えというと、

「子どものために財産を残しておかなければ」

と、お金のことを最初に考えがちです。

もちろん、財産をどのように残すのかは大切です。

しかし、それと同時に、

① 財産をどのように残すのか
② 残したお金を誰が管理するのか
③ どこで暮らすのか
④ 日常生活を誰が支えるのか
⑤ 親がしていることを誰に引き継ぐのか

ということまで考えておく必要があります。

親亡き後への備えは、一度にすべて決める必要はありません。

親御さんがお元気なうちから、ご本人の希望も大切にしながら、一つずつ将来の暮らしを整理していくことが大切です。

障害のあるお子さんの将来についてお悩みの方へ

「何から準備すればいいのかわからない」

「遺言書を作っておいた方がいいのだろうか」

「自分が亡くなった後の財産が心配」

など、ご家庭によって心配されていることはさまざまです。

行政書士法人ゆみあいでは、遺言書の作成など、将来に向けた備えについてご相談を承っています。

まずは現在の状況や心配されていることを整理するところから、一緒に考えていきましょう。

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