上陸拒否事由とは

外国人が日本で働く為のビザの取得において「在留資格認定証明書」の交付申請等をします。

審査において上陸許可基準や在留資格該当性に適合する必要がありますが、入管法第5条にある「上陸拒否事由」に該当する場合許可はおりません。

上陸拒否の状況 (法務省報道発表資料H31.3により)

平成30年における外国人の上陸拒否数は9,179人で,前年と比較して1,998人(27.8%)増加しました。

過去5年間の上陸拒否数の推移について見ると,平成26年以降は増加傾向にあり,平成26年の3,580人と比較すると,平成30年は5,599人(156.4%)増加しました。

上陸拒否者の国籍・地域別内訳

中国,タイ,インドネシアの上位3か国・地域の上陸拒否数の合計は,4,389人で,全体数の47.8%を占めました。 また,上位10か国・地域の上陸拒否数の合計は7,400人で,全体数の80.6%を占めました。

上位10か国・地域の上陸拒否数の推移について見ると,中国が前年の1,213人から2,092人(前年比72.5%増)へと大幅に増加しました。

上陸拒否の理由別内訳

(1)入国目的に疑義のある事案

不法就労活動が目的であるにもかかわらず観光,短期商用,あるいは親族・知人訪問と偽って上陸申請を行っている疑いがあるなど,入国目的に疑義が認められた者は7,243人で,全体の78.9%を占めました。

(2)上陸拒否事由該当事案

過去に本邦からの退去を強制された者等で,その後上陸拒否期間が経過していないなど,上陸拒否事由に該当していた者は925人で,全体の10.1%でした。

(3)有効な査証等を所持していない事案

有効な査証等を所持していないことが判明した者は328人で,全体の3.6%でした。

(4)不法入国容疑で退去強制手続を執った事案

上陸申請時に偽変造旅券を行使するなどしたため,不法入国容疑により入国警備官等に通報し,退去強制手続が執られた者は19人で,全体の0.2%でした。

ここからは「上陸拒否事由」の内容について詳しく見ていきましょう。

まず入管法第5条を見ていきましょう。

第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。

 一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第七条の規定に基づき、政令で定めるところにより、同法第十九条又は第二十条の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第八条(同法第七条において準用する場合を含む。)の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者

これは感染症の人や疑いのある人は入国を拒否しますということですね。

 二 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの

精神上の障害により物事を判断する能力を常に欠く状況にある人や判断能力が著しく不十分な人で日本においてその行おうとする活動を補助する人がいない場合は上陸できません。日本の法令ではこれらの人は契約等をする行為能力、意思能力がないと見なされ単独では諸活動に責任や効力がないとされることからきているものと思われます。

 三 貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者

就労ビザ申請時の上陸許可基準でも「日本人と同等額以上の報酬を受けること」などと定められており安定した生活を送れることをが条件となっています。

 四 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。

日本または海外での法令違反で1年以上の懲役若しくは禁錮またはこれらに相当する刑に処された場合。(政治犯罪により刑に処せられた場合は除く)「刑に処せられた者」とあるので例え執行猶予を受けたとしても上陸拒否事由に該当します。またこれらはある一定期間が経過したら免除されるというものでもなく永遠に入国拒否となってしまいます。

 五 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者

薬物により法令違反を犯した場合も一旦日本を出国すると永遠に入国拒否となります。

 五の二 国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したことにより、日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ、又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され、若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であつて、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区又は総合区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの

これらも対象が国際的な規模の競技会や会議の結果に関連し犯罪を犯すなど法令違反があった場合は入国拒否となりますということですね。

 六 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に定める大麻、あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚せい 剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者

麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、あへん若しくはけしがら、覚せい 剤取締法に定める薬物や吸引する為の器具を所持する者は入国拒否になります。

 七 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。)

売春またはそれらに関する業務に従事したことがある人は上陸拒否となります。

 七の二 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

人身取引等を行った人や補助した人も入国拒否の対象となります。

 八 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)に定める火薬類を不法に所持する者

鉄砲や刀剣類、火薬類を所持していた場合上陸拒否事由に該当します。

九 次のイからニまでに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの

 イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から一年

違法薬物の所持、銃砲刀剣類を不法に所持する者については、上陸を拒否された日から1年以上経過していない場合上陸は許可されません。

 ロ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で、その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年

退去強制された者は出国した日より5年間日本に入国できません。

 ハ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から十年

何度も強制退去により上陸拒否になっている人は上記期間より加重して10年となります。

 ニ 第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国した者 出国した日から一年

出国命令制度により出国した者の上陸拒否期間は1年となります。

 九の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて本邦に在留している間に刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成十五年法律第六十五号)第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して本邦外にある間にその判決が確定し、確定の日から五年を経過していないもの

例えば日本に在留している間に刑法の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた場合、例えばその判決が日本を出国した後なされたものである場合24条の退去強制事由に該当せず、上陸拒否事由にも該当しない事になってしまいます。判決確定時期の前後でこのような不平等が生じる事は妥当ではない為このようね規定が設けられました。 不均衡を是正するためですね。尚、ここでは入管法別表第一の活動類型の在留資格を有している方を対象にしています。(就労資格など)

 十 第二十四条第四号オからヨまでのいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者

入管法24条第4号オからヨ(上陸の許可を得ずに本邦に入国)などして強制退去となった者

 十一 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

テロなどを企てたりしている者は上陸できません。

十二 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

 イ 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

公務員であることを理由に公務員に暴行などを加える政党や団体は上陸許可されません。

 ロ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

公共の施設を不法に損傷や破壊をすることを推奨する政党や団体も入国できません。

 ハ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

工場事業場などにおいて安全を妨害するような行為をしようとする政党や団体も入国できません。

 十三 第十一号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者

第十一号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物を作成したり補助、助長する者も入国できません。

 十四 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

法務大臣が日本国の利益や公安を害する行為を行うと認めるに足りる相当な理由がある時はその者は上陸拒否となります。

 法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる。(上陸の拒否の特例)

これは相互主義に基づき上陸を認めない、拒否することができるということです。